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琵琶湖
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■ 何処をどう走ったのか覚えていない。
湖畔の細い道を、数時間走る。廻りは霧のようでもあり、靄(もや)のようでもあった。前がよく見えないでいる。補助灯は、この車にはついていない。
琵琶湖大橋の近くにパーキングがあり、とりあえずそこに入ることにした。
そこには、車高を低くしたワンボックスの車たちが数十台集まっていた。
皆若い。リズミカルな念仏のような、ラップが聞こえてくる。
ヒップ・ホップの格好をした若者達が、座り込んでいた。
車を相互に自慢しあっている。東京で言えば大黒埠頭、あるいは第三京浜のパーキングにも似たようなものだろう。
私は、自動販売機の前に座り込んでいる若者のグループに道を尋ねた。
すこし人だかりができてきた。
集まった中のひとりが、多分それはもうすこし北の方にあると言った。
金色の髪の少女が、彼を誉めた。
彼らは、外から眺めるとやや壊れているかのように見える。
が、それはある種時代への姿勢であって、まだ完全にではない。
私は礼を言い、国道の方角に流れた。
深夜の琵琶湖湖畔を昇ってゆく。随分と長い時間だったように覚えている。
数回迷い、湖畔の傍に車をとめようとするが、湘南海岸と等しく、柵で囲われていて無理のようだ。
やむなく、コンビニエンスストアの駐車場で仮眠を取ることにした。
2002_12_14
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