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興福寺
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■ 十年ほど前の拙文をそのまま転載してみた。
ここで、吉野というのは、奈良県の吉野郡である。
私は、吉野という地名を聞くと、どうしてもこの大岡さんの「花影」を思い出してしまう。
私はホテルに戻り、車を借りる手配をした。
始めは、「山の辺の道」を歩いてみるつもりだったのだが、午後から夜半にかけての撮影で、この機材を持って歩くのは無理だと諦めたのである。
シャワーを浴び、ポロ・シャツを洗う。ナイロン製のカメラ用ベストは、襟のところに薄いスポンジが入っていて、そこが汗でぐっしょりと濡れていた。
ホテルの大きな鏡に映る自分の姿が、どうも思っていたものと違っている。
横にしてみると確かに腹の辺りが膨らんでもいるのだ。そして胸の肉が落ちている。何処にありや去年の腹。
遅い夕食を近くの居酒屋で取った。
会話はいくつもあったけれども、今ここでは省く。
翌朝、すこし早く起きて、撮り残しただろうものを捜しにいった。
猿沢の池では、近くにあるのだろう幼稚園の児童が、保母さんに連れられ池の周囲を行進している。保母さんは、ちらちらとこちらを眺めていた。
子供らは歌をうたう。
私はうかつにも、釆女(うねめ)神社に立ち寄ることを忘れていた。
2002_10_27
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