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列島いにしえ探訪 Poster Top
金峯山寺
青瓶 2465

「列島いにしえ探訪」
- 木枯 -



■ 地吹雪のように、枯葉が舞っている。
 車が通るたび、それは流れ、近づき、それから後ろに消えてゆく。
 枯葉は路肩に集まり、そのまま粉になるのを待っていた。
 12月が近い。
 ほぼ半年前に撮ったものを、冬の都会で語る。
 今の自分と、その時の私に、どのような繋がりがあるのだろう。
 いつだったか、ロラン・バルトの「明るい部屋」をぱらぱらと捲っていると、私はどういう訳か、アンネ・フランクを思い出した。いわゆるゲットーに居た、ユダヤ人の少女である。そこから「夜と霧」の冒頭の数枚に飛び、収容所の記録フィルムへと連想は飛んでゆく。
 亀井勝一郎氏だったか、あるいは別の方だったか、古寺や遺跡というのは、膨大な死者の匂いが背後にあるというようなことを書かれていた。
 あまり人は自覚したがらないことだけれども、写真の本質のひとつに、バルトの言う「それは、かつてあった」という側面、要素は確かにあるようにも思う。
 おそらくそれは、記憶の断片にも似ている。



2002_11_05
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「列島いにしえ探訪」読売新聞大阪へ

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