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金峯山寺
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■ 地吹雪のように、枯葉が舞っている。
車が通るたび、それは流れ、近づき、それから後ろに消えてゆく。
枯葉は路肩に集まり、そのまま粉になるのを待っていた。
12月が近い。
ほぼ半年前に撮ったものを、冬の都会で語る。
今の自分と、その時の私に、どのような繋がりがあるのだろう。
いつだったか、ロラン・バルトの「明るい部屋」をぱらぱらと捲っていると、私はどういう訳か、アンネ・フランクを思い出した。いわゆるゲットーに居た、ユダヤ人の少女である。そこから「夜と霧」の冒頭の数枚に飛び、収容所の記録フィルムへと連想は飛んでゆく。
亀井勝一郎氏だったか、あるいは別の方だったか、古寺や遺跡というのは、膨大な死者の匂いが背後にあるというようなことを書かれていた。
あまり人は自覚したがらないことだけれども、写真の本質のひとつに、バルトの言う「それは、かつてあった」という側面、要素は確かにあるようにも思う。
おそらくそれは、記憶の断片にも似ている。
2002_11_05
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