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●ご注意
このページは製作過
程のイメージをあらわ
すものです。

実際の「YOL関西」は
こちらです。

■デザインガイドライン

 ここで本題に戻ります。
 仮に、コンテンツの総体、そのシンボルである表紙を第一に変更する場合を 考えてみましょう。
 ここで私は、大まかに分けて二つの方向性があると考えています。

 ひとつは、新聞社固有のコンテンツ、つまりは正確で信頼のおける、地域に 密着したニュース。その速報性と関連記事などの関係を前面に押し出したもの。

 他方、ニュースはニュースとして充実させてゆくが、新聞社のコンテンツと いう概念をやや広げ、生活に密着したコンテンツ、更に蓄積型の質の高いコン テンツを別枠に保持するもの。日曜版、グラフ誌的な要素を加える編集です。

 前者の場合、課題は全体としてのバランスになるでしょう。
 原則として、YOLなどとのブランドイメージの統一性を最も重視します。
 イメージカラーというものがありますから、それを効果的に使う。
「関西発」の場合には、青か紺が基調。
 更に細部の配色には、極めて神経を使います。
 何故なら、色にはそれぞれ意味があり、国際欄が何故オレンジ色なのか、経 済欄がどうして明るい緑色なのか、という素朴な疑問が残るからです。
 内容に相応しい文字や色使い、そしてレイアウトが求められます。

 同時にいわゆる「デザインガイドライン」を作成します。
 毎日煩雑に更新する部分、そこは簡単に作成できなければなりませんから、 そのための道具、ツールを提供することになります。
 日々の更新の中で、ここは変更してもいいが、ここは触ってはいけない。
 変更する場合には、先ほどのBM(ブランドマネジメント)の考えに従い、一 定のマニュアル・考え方に従う。
 つまり、プロのジャーナリストにとって、使い勝手のよいネット上での道具。

 記事部分と広告部の美的な共存。
 できれば、本文用にいくつかの雛型を作成し、記事の内容に応じて差し替え て使う。つまり、ニュースを機能的にかつ見やすくする、ということが第一義 的な目的になります。

 次に、第二案の場合。
 個人的には、ニュースを扱うサイトとはある程度分離して考えるべきだと思っ ています。
 今の関西発のトップページについて、やや辛口を申し上げますと、2DKか 3LDKのマンションに家族が5人で住んでいるというような按配。
 そのリビング、あるいは玄関先であるように思えます。
 それは、様々な要求を全て満たさねばならないからでして、こころならずも、 というところも多分にあるのでしょう。
 それが私も含め日々生活の実感なのですから親しみもあるのですけれども、 もうすこし収納に気を配ってもいいかな、合理的な収納方法はないかな、とい う気もしないでもない。

 それを前提として、生活密着型のコンテンツ、更に文化的蓄積型のコンテン ツを集約する表紙。その入り口を置く。
 要はドアを整理するという感じです。
 この表紙は、中央公論のような総合雑誌に近いものになるかも知れません。  表紙そのものだけでも、一定の価値がある。それを誰もが使いやすいナビゲ ーションで各メニューに繋げてゆく。
 イメージとしては、文字が配列されたポスターを想定してください。
 ここには動画も含まれますが、メニューそのものの文字がデザインの一要素 となっている、というような感覚です。

■情報の器

 キッコーマンの卓上醤油瓶や秋田新幹線、「こまち」をデザインされた、栄 久庵憲司(えくあんけんじ)さんという、インダストリアルデザイナーがおら れます。
 この方は、「幕の内弁当の美しさに日本のインダストリアルデザインの全て がつまっている」と言われています。
 箱庭もそうですし、盆栽もしかり。
 小型化、凝縮。見た目の鮮やかさ。程のよさ。季節感。
 一尺四方の空間の中に、様々な情報が配列されている。しかも美しい。
 そこに性別や年齢を問わない、不思議な色気もある。
 情報をただ羅列しているのは、あたかもハンバーガーの紙袋に顔を突っ込ん で食べているようなもので、お腹は膨らむのですがどうもうら寂しい。

 いずれにしても、器は美しくなければならない。美しいほうが楽しいでしょ う。せっかくの素材、ニュースやコンテンツを、滞ることなく心地よく、読者 に届けたい。
 誰しもが持っている美学のようなもの。
 デザインというのは、それを拾い上げてくる作業であるとも思えます。


●おわりに
 青二才の話をお聞きくださり、ありがとうございました。
 ブロードバンド社会になりまして、世の中の全てがコンテンツ化するなどと いう声もありますが、ま、そう旨くはゆかないだろうと私は思っています。
 コンテンツというのはそう簡単に作れるものではないからです。
 それは、日頃取材を続けられている記者の方々ならば、いわずもがなの事柄 であろうかとも思えます。
 本日は、お招きいただきありがとうございました。


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