「緑色の坂の道」vol.7016

 
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■ 本牧から山下公園へ向かう辺りでS30フェアレディの後についた。
 ナンバーが三桁の3だから、元は240である。太いタイヤを履き、車高はそれ程下げてもいず、L型は定番のチューンを施した音をさせている。
 昔元町の宝石屋の前にオレンジのS30が何時も駐まっていて、中華楼の傍にあるバーの店員が転がしていた。あれは微妙に尻が上がっていて、LA辺りの影響である。
 ロケハンで元町を通る度にみかけていたのだが、ここ十年ほどは姿がなく、彼も引退したのかと思っていた。話したことはないが、腕にタトゥーのあるとっぽい男だった。
 

「緑色の坂の道」vol.7015

 
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■ 16号から357号、東京湾岸道路に抜けて本牧に戻ろうとする。
 昔、この辺りを意味なくうろついていたものだけれども、他府県ナンバーはすぐやられた。暗いところには駐められない。
 できたばかりだという高架を制限速度をわずかに下回って昇る。
 ちらりと海の色が見えて、鉛というよりもオレンジと黒の縞である。
 ぽつぽつと雨になった。
 

「緑色の坂の道」vol.7014

 
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■ 短い旅をすると、自分が今どこにいるのかが分かるような気がする。
 旅といっても、一日車でうろつくだけである。カメラは持たない。
 横浜から横須賀へかけての道をたらたら流し、灰白色の低い建物の隙間を覗く。
 丘のようなところを登ると車屋があって、いい値段のディムラーが一台飾られている。向かいには駐車場があり、作業服を着た女性がしゃがみ込んでシートの辺りを触っていた。その横には初老の親方らしき人物が同じようにツナギ姿で煙草を咥えている。
 レストアか手入れの最中なのだろう。最近は女性のメカニックも増えたということか。 

「緑色の坂の道」vol.7013

 
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■ ブルゾンというのは基本的には作業着の要素が下地になっている。
 鉄工・金属・機械製造、建設・建築・塗装・内装工事、電気・設備工事、自動車・バイク整備、農業。
 並べていくとこんなものだろうか。ここに狩猟やゴルフが入ってないところが現実というものか。粋に着こなしている兄さん方もいて、制服の着方で年季が分かる。崩し方で、その意識も識れる。
 後はミリタリーというか、軍の放出品またはレプリカから派生したもの。
 真冬のサイドカーに放出品のトレンチ・コートというのは、ある種定番だとは思う。これだって塹壕の中から派生したものだ。
 今都心部でその恰好で走っていればかなり目立つだろうが、場合によっては職質されるかもしれない。
 

「緑色の坂の道」vol.7012

 
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■ BARACUTAのG4はやや手が長い。
 折り返したり適当にまくったりしているが、伊太利の息がかかっているから仕方のないことかもしれず、旧いアルファのドライビング・ポジションが当時のマニアに手長猿と自嘲されたことを思い出させる。
 真冬と真夏には単体ではやや厳しいものの、適当に着回しできるところは、いわゆるブルゾン好きにとっては重宝するようなところもある。
 

「緑色の坂の道」vol.7011

 
    皿について。
 
 
 
■ 自転車で、あまりがんばりすぎるのは野暮である。
 どこかてろてろっというか、へろへろの部分はあっていいのではなかろうか。
 とは思うものの、先日ヘルメットを買ってみた。
 今まで被っていたものがどちらかといえば冬用で、穴ポコの数が少なかったのである。
 

「緑色の坂の道」vol.7010

 
    すこし風の日。
 
 
 
■ 坂道に溜まっていた桜の花弁もいつの間にか消えている。
 今年は花が早かった。数日前には雪すら降っている。
 地下へ降りると車の上に黄砂のようなものが積もっていて、また洗車をするのかとうんざりしたものだ。
 

「緑色の坂の道」vol.7009

 
    灰桜。
 
 
 
■ 芝居を見にいこうとしていた。
 お世話になった方もいたので、銀座に出た際に適当なものを買い、熨斗をつけてもらっていた。楽屋までいかず、帰り際に置いて、そそくさと戻ろうと思っていたからである。
 古参の店員さんがその場合にはこう書くと教えてくれて、そうしたものかと勉強になった。
 

「緑色の坂の道」vol.7008

 
    海にいる白。
 
 
 
■「白鯨」の訳は比較的新しいものだった。
 00年代、解説を書かれた方が手掛けられているようである。
 それ以前、やや古典的な言葉遣いのものも読んでみたいと思っているのはどうしたことか、得体のしれない作品世界に魅入られつつあるのかと苦笑いした。
 こう書いていること自体ほぼ駄目であって、その後の展開は何年越しで、という按配になるのだろう。
 

「緑色の坂の道」vol.7007

 
    春雷。
 
 
 
■ 海の向こうで稲妻が光っている。
 そうなのだろうと思われる。
 横風が強く、高速では制限速度より控えめにしていた。足立ナンバーのトラックが先を急ぐ。それぞれ事情もあるのだろう。
 岩波文庫に「白鯨」があって、それを斜め読みしていた。例のエイハブ船長が出てくるものである。訳もこなれていて、今でも違和感は少ない。
 挿絵の鯨の絵が非常に見事で、スキャンでもしておこうかという気にもなるが、これを参考にどう形にしていいのか分からないのでやめにした。