Blue Haze.
 
 
 
■ 軽く。
 というキャッチの緑坂を書いてその後が続かなかった。
 キャッチと呼ぶべきかどうか、まあなあ、といった按配なのだが、このところこの言葉が私の近場を漂っていた。
 何を捨てるか拾うのか。そう単純なものではないのだけれど、「おまえそれ、死生観の問題だろ」と、何年も会っていないあいつなら確実に言うのだろう。
 

 
■ 千葉との境の高速で、1970年辺りのブルーバードと並んだ。
 510のクーペ。多分1800CCの方だと思う。オービスのある辺りを過ぎると結構な加速を見せ、車線変更の度に赤いテールランプが内側から外側へゆっくりと流れていた。後期型か。
 エンジンも弄ってあるだろう。2.2リッターまでいってるか。それでもこの速度は結構がんばっている方だ。濱ナンバーでサファリ・ブラウンで、ほぼレストアに近いような車に逢うと馬鹿だなと思ってしまう。ドライバーの髪は短い。
 くったたるなよ。と、私は並走を止めた。その気じゃないんだ。車を見たかっただけだ。彼はまっすぐトンネルの方へ戻り、私は左へ流れてUの字を描く。互いにハザードの挨拶。
 夏頃はここに、まっすぐ突っ込んだようなブレーキの跡が残っていたものだが今は消えている。