「緑色の坂の道」vol.7010

 
    すこし風の日。
 
 
 
■ 坂道に溜まっていた桜の花弁もいつの間にか消えている。
 今年は花が早かった。数日前には雪すら降っている。
 地下へ降りると車の上に黄砂のようなものが積もっていて、また洗車をするのかとうんざりしたものだ。
 

「緑色の坂の道」vol.7009

 
    灰桜。
 
 
 
■ 芝居を見にいこうとしていた。
 お世話になった方もいたので、銀座に出た際に適当なものを買い、熨斗をつけてもらっていた。楽屋までいかず、帰り際に置いて、そそくさと戻ろうと思っていたからである。
 古参の店員さんがその場合にはこう書くと教えてくれて、そうしたものかと勉強になった。
 

「緑色の坂の道」vol.7008

 
    海にいる白。
 
 
 
■「白鯨」の訳は比較的新しいものだった。
 00年代、解説を書かれた方が手掛けられているようである。
 それ以前、やや古典的な言葉遣いのものも読んでみたいと思っているのはどうしたことか、得体のしれない作品世界に魅入られつつあるのかと苦笑いした。
 こう書いていること自体ほぼ駄目であって、その後の展開は何年越しで、という按配になるのだろう。
 

「緑色の坂の道」vol.7007

 
    春雷。
 
 
 
■ 海の向こうで稲妻が光っている。
 そうなのだろうと思われる。
 横風が強く、高速では制限速度より控えめにしていた。足立ナンバーのトラックが先を急ぐ。それぞれ事情もあるのだろう。
 岩波文庫に「白鯨」があって、それを斜め読みしていた。例のエイハブ船長が出てくるものである。訳もこなれていて、今でも違和感は少ない。
 挿絵の鯨の絵が非常に見事で、スキャンでもしておこうかという気にもなるが、これを参考にどう形にしていいのか分からないのでやめにした。
 

「緑色の坂の道」vol.7005

 
    凍鶴。
 
 
 
■ 長い冬が終わろうとしているのか。
 風花のようなものが舞って、やはり底冷えがした。
 この冬はウールのオーバーを一度も着なかった。黒ではなくてグレーの、ハーフサイズのものである。これに手袋をしてマフラーを巻き、時々手袋を落としてくるのが厳寒期の常だったのだが、幸いにして拾いにいかないで済んでいる。
 代わりにBARACUTAのG4を下に、寒い時には薄いゴアか何かのジャケットを重ね着していた。
 

「緑色の坂の道」vol.7004

 
    12月の花束。
 
 
 
■ あまり深刻に酒を飲みにいかなかった。
 東京を暫く離れ、戻ってくるとなにものかに追われ、銀杏の枯葉が舞う外苑西通りをいったりきたりしていた。
 毎年のことだが、透けていくように空が広くなるのが分かる。
 

「緑色の坂の道」vol.7003

 
    夜の陸橋の下。
 
 
 
■ 東京の外周部にいて信号で停まった。
 上は高速である。
 水銀灯のコントラストの中に、男の影のようなものが見えた。
 

「緑色の坂の道」vol.7002

 
    11月の薔薇。
 
 
 
■ ダーク・ラムとウールの靴下。
 パルタのNo.4を二口ばかり。
 入れすぎた紅茶の色のようで、目尻に皺があった。
 

「緑色の坂の道」vol.7001

 
    曲がる柳。
 
 
 
■ アトリエというか仕事場の棚の傍に、適当な備前を置いて枝を入れてある。
 近くの花屋にあった柳のひとつだそうだ。
 放っておいたら枝から青い芽が出てきていた。雲のように曲がる。