風の花。
■ 坂道を昇っていくとき、一旦停止する。
一本の桜があって、背後は緑の樹木である。
風がやや強く、数秒の間に花弁が横殴りに散っていく。
空は青く、この部分だけを切り取れば、場合によっては作品になるのかも知れない。
自転車と杖をついた男性に先に行ってもらい、ゆっくりと車を出した。
「緑色の坂の道」vol.7043
花の日。
■ まだかまだかと急くように日が過ぎて、いざ開いたとなると気持が離れる。
何時まで保つのか、散り方はどうか。
何時だったか、しばらく前のベストセラー「硫黄島の星条旗」を読んでいた。イーストウッド監督によって映画化された作品である。
沖縄の首里攻防戦を描いた「沖縄シュガーローフの戦い 米海兵隊地獄の7日間」と並んで、戦闘シーンが非常に具体的なことが特徴だった。
腕が飛ぶ、銃弾で顎から先がなくなる。埋葬の仕方。
「緑色の坂の道」vol.7042
Bohemia After Dark 4.
■ こんなことをやっている場合ではないのだが、車のヒューズを替えた。
一部ではなく全部である。
前にも一回やったのだが、あれから何年も経っているし、別の小型車たちのこともあるからとまとめて注文したのである。ボッシュもいいが、ここは安定の国産品を選んでいる。注文に数日、交換に五分。
「緑色の坂の道」vol.7040
Bohemia After Dark 2.
■ どの世界でもそうなのだが、舞台裏というのはなかなかえげつない。
車の周辺もそうで、何度もこれはと思うようなことがあった。
雑誌に広告が載っているようなところが名人かというとそうでもなかったり、OEMを使っていてもそのメーカーが答えられなかったり。
一般に職人というのは純朴で気質があると美化されてもいるが、ではなぜ監督が要るのかというと、近いところにいる方々なら頷くところもあるだろう。
「緑色の坂の道」vol.7039
Bohemia After Dark.
■ 昔、オスラムのマップ・ライトを独車につけていた。
確か COPILOT という名前である。シガーライターから取り出す形式のもので、ハロゲンの灯りだった。車が変わっても暫くは使っていたが、とうとうスィッチの辺りが調節しても上手くいかなくなり、何時の間にか散逸してしまっている。
中途半端に古く思える時期というのは確かにあるもので、それを過ぎるとネオクラシックとしてもう一度欲しくなったりする。だがたいていの場合、その時は絶版だ。
「緑色の坂の道」vol.7038
Madreselva.
■ なんのせいか、パーツを海外から取り寄せることになった。
以前、964のRSに乗っている人が言ってたが、車のパーツの価格はこのところどんどん上がっていて、数年前にまだ在庫があると言っていたものがとっくにない。あってもプレミアがついている。
芝浦のディーラーで調べてもらってもそれは同じで、私の車より新しい形式であっても続々と廃番になっているという。内装や特殊な部品はまず駄目ですね。
はぁ、左様ですか。
「緑色の坂の道」vol.7037
傾く枝。
■ 緑色のジンジャエールが好きで、それにジンを垂らせば最高である。
そうもいかないので、そのままちびちび嘗めている。
一度に飲める訳もなく、だいたい次の日辺りになるといい頃合いに炭酸が飛んでいって好みの味になっていく。
初めから弱い刺激のものにすればいいじゃないかとも思うのだが、威勢のいい若い衆が成熟して枯れていく様にも似て、味の変化が面白い。老化ともいえるが。
「緑色の坂の道」vol.7036
佇まいについて。
■ 小型車を入れることになって、しばらく物色していた。
訳ありである。
普段乗るものではないので幾分かは趣味の要素も強いのだが、かといってサンクやローバーのミニにまでいってしまうと厄介で、今乗っている旧い車に手が回らなくなる。
ほどほどというか、適宜な按配に抑えた。それでもやや旧い。
冷静に考えると、同じ予算でもっと新しいのを選んだ方がよさそうである。
「緑色の坂の道」vol.7035
にほどり。
■ 自分のためだけに時間を使える時というのは案外に短いものだ。
片手間に、半ば意識しながら捜していって繋いでいく。焦る気持も生まれるけれども、例えば今手持ちのレンズで撮れないものは、新型を買ってもほぼ一緒である。
眺めているのは自分だからである。