花の日。
 
 
 
■ まだかまだかと急くように日が過ぎて、いざ開いたとなると気持が離れる。
 何時まで保つのか、散り方はどうか。
 何時だったか、しばらく前のベストセラー「硫黄島の星条旗」を読んでいた。イーストウッド監督によって映画化された作品である。
 沖縄の首里攻防戦を描いた「沖縄シュガーローフの戦い 米海兵隊地獄の7日間」と並んで、戦闘シーンが非常に具体的なことが特徴だった。
 腕が飛ぶ、銃弾で顎から先がなくなる。埋葬の仕方。
 

 
■ それから「特攻」と題された文庫本をぱらぱらと捲っている。
 中に「桜花」の写真があり、米兵が近くに立っているから捕獲された代物だろう。一式陸攻にぶら下げれられて、諸共に撃墜され、戦火らしきものをほとんどあげることができなかったという専用機である。米兵は「BAKA」というニックネームで呼んでいた。
 特攻についてのいくつかの考察を眺めていて、結局は精神論に帰着していることに私はややうんざりしている。
 この辺り、いつもそうじゃないか。
 すると棚の奥に、「大菩薩峠」の十何巻辺りが隠れていることに気づいて、その隣は「大和古寺巡礼」だった。
「生きている兵隊」は伏字が残っている。