Bohemia After Dark.
 
 
 
■ 昔、オスラムのマップ・ライトを独車につけていた。
 確か COPILOT という名前である。シガーライターから取り出す形式のもので、ハロゲンの灯りだった。車が変わっても暫くは使っていたが、とうとうスィッチの辺りが調節しても上手くいかなくなり、何時の間にか散逸してしまっている。
 中途半端に古く思える時期というのは確かにあるもので、それを過ぎるとネオクラシックとしてもう一度欲しくなったりする。だがたいていの場合、その時は絶版だ。
 

 
■ 当時、六本木にある車のアクセサリーを扱う店で買った覚えがある。
 何万もするような、ペッカリーか何かの手袋。恰好いいなと今でも思うのだが、根が貧乏性なので思い切れない。ブリキ製の看板か何かも売っているのだが、レプリカでこれは高いような気もする。
 行く度に変わる妙齢の店員がやけにすましていて、気持は分かるんだけどね。
 
 
 
■ 雨がぽつぽつ降ってくるような夜半。
 誰の演奏か、リズミカルで哀しげな曲に変わる。老眼で辛いものの、題名を眺めると「Bohemia After Dark」とある。
 Five Spot と並ぶJazzの世界の定番のひとつで、蘊蓄は誰か別の方が書いていることだろう。
 ボヘミヤか、と、私は読みかけのロマ・ジプシーについての本を思い出した。
 冬なのに硬いオイルを入れているから初めのひと踏みが重い。