「緑色の坂の道」vol.3907

 
       ディア・オールド・ストックホルム。
 
 
 
■ 実は北欧に行ったことがない。
 写真を仕事のひとつにしている癖に、私は旅というものが基本的に嫌いだ。
 何故かと言えば、戻ってこなくなる予感があるからである。

「緑色の坂の道」vol.3905

 
       低く丸い月。
 
 
 
■ エントランスを出ると白い月が見えた。
 クリスマスの飾りつけの向こうに、取り替えたばかりの蛍光灯のように光っている。
 何時もとは違う人波が流れてきた。

「緑色の坂の道」vol.3904

 
       南瓜の日 2.
 
 
 
■ 鈍い黄色というのは、冬である。
 金色とはまたちがう。朱とも近くあって、すこし位置が異なっている。
 知らない間に、私たちは色で何ものかを認識しているのだが、もっとゆっくりしようか。

「緑色の坂の道」vol.3903

 
       南瓜の日。
 
 
 
■ 先日南瓜を食わされた。
 いつもなんらかの理由がある。
 それはそれ、子供の頃は覚えていたのだが、酒を嘗めると忘れてしまう。
 冬は足許から近寄ってきて、見上げると空に隙間が増えていた。

「緑色の坂の道」vol.3902

 
       十二月のこのまっくらな真夜中に 7.
 
 
 
■ マイルスのアルバム二枚聴いていたらスコッチが切れた。
 何時だったか戴いた高いそれを取り出して悩む。
 蟹の缶詰のような扱いである。

「緑色の坂の道」vol.3901

 
       十二月のこのまっくらな真夜中に 6.
 
 
 
■ 1?4 は昨年書いた覚えがある。
 今、検索をしてみると2005年11月の末のようだった。
 たいして気分は変わっていない。
 
 
 
■ 変わったものと言えば、車や使うカメラボディ。
 カードの限度額や皺のひとつふたつだろうか。
 それよりも、いつのまにか自分の場所なのである。

「緑色の坂の道」vol.3900

 
       十二月のこのまっくらな真夜中に 5.
 
 
 
■ 部屋を暖めながら、ひとつふたつ原稿を書いていた。
 年明けに企画を出すその草案のようなもので、紙袋二つばかりの資料が廻りにある。
 かたちになってきたかな、というところで酒を嘗め始めた。
 AVO というシガーを半分だけ吸う。
 空気清浄機がまわる。
 雨が強くなってきた。