夢も見ない深い眠り。
■ 外苑西通りの銀杏の色が鮮やかだった。
歩いても車でも、葉が落ちる時は微かな音がする。
後悔は色々あるが、たいていは考えても無駄なことで、時間が経てばどうでもよくなる。ひとつ挙げろと言われれば、もう少し若い頃に無理をしてもモトグッチあたりの単車を買っておけば良かったということくらいだ。
■ グッチには1000ccのカウルなしのものがあった。
今まで2回しか実物を見たことはない。硬質な排気音で、確かOHVだったと記憶している。冷えている時のタペットがガチャガチャ煩い。90年代の車体だからネオと分類されてはいるが、骨格は70年代を模している。
この黒にグリーンのラインの入ったものに革パンツを履いて、12月の清掃車を避けながら都市部の空いた道を走ることができたら、その日から禁煙してもいいような気はしていた。もちろん多めに保険は入ってである。
■ 地方というか更に奥の方に分け入り、そのように暮らしている人は何人かいる。
保管するための小屋を自分で作り、整備もそうして、20リッターのオイル缶の上に座布団を敷いて雪解けを待っている。時には鉄アレイを持ったりもするのだろう。
単身者もしくは少年のような夢を見たいと時々は思うが、そういう流れには乗らなかった。