ブチルテープ。
 
 
 
■ スロープを赤い車が昇っていって、小型のアルファである。
 段付きかなと思って眺めると黒い幌を被っていた。4座。
 ジュリアのGTCと知るのは数日経ってからだが、乾いた、どことなく情けない排気音がいい感じだった。
 この周辺、好きなひとが本当に多い。
 何時だったか橋を渡ったところにある伊太利車のディーラーへ行って小物を眺めていると、奥のガレージに案内された。
 そこにはレストア中のランチアか何かが停まっていて、唸ったものだけれども、先ほどのGTCもそこにあったものだったかも知れない。
 

 
■ 私はといえば、先日入った小型車を少し弄り、ちょっとだけ走っただけである。
 コンピュータのリセットを頼み、ぼちぼち慣らしていくのはこれからになる。
 もともとの旧い車の方は左右のブリンカーランプを取り換えることになった。時間が経つとどうしても劣化して、何かの弾みに留めるところが割れたりもするのである。
 純正が残るうちにと買ったのだが、自分でやれますよねとサービスの担当者も余分な経費を省いてくれた。もしかすると、学割扱いなのかも知れない。
 パーツ価格は、虎ノ門のホテルで調子に乗ってシングルモルトのボトルを入れたくらい。見栄というのも一時期には必要なものだが、何時までも続くものでもないのだろう。第一飽きるじゃないですか。
 
 
 
■ 周期的に本を処分する時期があって、棚の辺りが少し空く。
 そこに何を詰めるかを暫くすると考える。次は使わないレンズや機材だろうか。
 読んだ記憶は確かにあって、もちろん忘れてもいるのだが、漿液のようなものの中に溶けているのだと思うようにしている。