花灯り 2.
 
 
 
■ イエローのフォグかスポットを全開にして、高速ではない国道を西や東に向かう。
 たいていは一人で、目的があるようなないような。
 必ず雨になるのだが、手入れされた車ならばワイパーのゴムはまだ新しい。
 個人的な好みだが、フィクストヘッドクーペの姿が思い出される。
 XK140や150、EタイプのそれやMGのGT、エランやS800にもそういうものはあった。囲まれた猫背の部屋。
 排気量はともかく、車の車種もそこそこに、濡れた路面をグリップを確かめながら限界の70-80パーセントくらいで飛ばすとき、音楽は聞こえているのかそうでないのか、ラジオは消していたような記憶がある。
 

 
■ 余程のことがない限り、これからそういう機会は訪れないだろうと思っている。
 自転車や原付で初めて遠出をした少年の日。転んだ夜。リザーブのあることも知らず。それと同じことが何度も繰り返され、フォグに水が入り留め金が錆び、車自体も変わってゆく。
 どこか知らない山の麓で、周りが霧になり、思わず車を停めて外に出た。
 路肩に赤紫の花が咲いていて、それが躑躅なのだと気付くのに煙草一本必要だった。