エストニアの花。
 
 
 
■ しばらく前、旧い車の部品が届いた。
 なんのせいか、エストニアからである。これはどこにあるのかと地図を眺めると、あらま、バルト海に面した界隈である。
 ゲッツの「ディア・オールド・ストックホルム」が海の反対側にあった。
 プーシキンという地名も見えたりする。そういう名前の詩人がいたような記憶もあるが、どっとはらい。
 

 
■ 色々感慨深いところもあるのだが、おもむろにパーツを取り出してコンパウンドの入らないクリームで磨く。デスクの脇に置いておいて、それにほぼ一週間。5つ取ったパーツのうちひとつは不良品で、磨いているうちにヒビが入った。
 とうに純正の部品は生産中止で、OEMになるのだが、細部の作りが今一つのところもあって、何処で作っているものかと調べれば台湾である。
 台湾で作ってエストニアに流れて、それが日本に入ってくると。こういうのをグローバリズムと呼ぶのかどうか、私が若いころまだソ連邦はあった。
 
 
 
■ 旧い車に付けて眺めていると、似合うようなそうでもないような。
 原産地その他、こちらの先入観が混ざっていることは否定できない。
 いい気になって次の日になれば、配線が一本抜けていることに気づき、またやりなおしたりするのである。
 もともと付いていた純正品は洗ってから磨き、床の間に飾ることにした。