Dingo.
 
 
 
■ 力の抜けたようなトランペットが薄っすらとはじまる。
 短いイントロを聴いただけで、これはマイルスだと分かるのだが、人気のないPAの灰皿のある辺りに車を停め、自分の車なりバイクを眺めるとする。
 誰だかが、斜め後ろからみて、いいなと思えれば付き合いが長くなると何処かに書いていた。そうだろうなと私も思う。
 

 
■ 去年だったか、あるところに停めていて傷を付けられた。
 かなり深いものが数センチ。塗ろうかどうしようか迷った挙句、手持ちのステッカーを貼ってその場を凌いでいた。
 何時だった求めた、英国の古い車のもの。既に消えたメーカーである。
 独車にそれはと思うのだけれども、ドイツのそれらは洒脱な気配が乏しい。
 夏に久しぶりに磨いてもらって、そのステッカーは剥がした。今は伊太利の自転車のフレームに貼るものを貼っている。
 
 
 
■ ルグランと組んだマイルスのアルバムは、力の入った作品とは言い難い。
 繰り返し出てくるテーマのようなフレーズがマイルスのソロで、私の耳には風の音が後ろに入っているようにも聴こえる。