ブルー・シャドウズ・オン・ザ・トレイル。
 
 
 
■ 感覚のようなものを頼りにして、時々表現と呼ばれるものをする。
 理屈をつけることもできるが、そこから零れ落ちるものの方が多い。
 いつだったか産業道路から大きく曲がって埋立地へゆく橋の上で、手を伸ばせば届くところに電車の人影があった。正確には横顔である。
 電車の照明は白だから、顔色も着ている服も反射して、誰かがこちらの方を見ている。
 

 
■ 飛ばそうと思えば飛ばせる道である。
 だが、誰もそうしていない。
 左をちらりと眺めると、あんなに建っていただろうかと、高層ビルが近くに見えていて、風で靄が飛んでいる。
 私はブルックリンまでの橋のことを思い出していた。
 あれも対岸から眺めていたのだ。
 
 
 
■ ひとつひとつの窓の中に、仕事や生活があるのだとは俄かには思えない。
 水を汲み、流し、集約しては広げていく。
 たったひとりで。
 いや、柔らかい子どもの手も、昨日触れていたはずだろう。