冬の花火。
 
 
 
■ 適当に流すというのは難しいものである。
 服でも車でも、身体からそのものだけが浮かび上がって見えるようなことがあって、傍から眺めるとそういうことかと分かってしまう。
 最近、長いレンズをつけたカメラを持つのがとても嫌で、外でどうしても使わなければならない時には、風呂敷というか布などを被せている。
 なるべくなら持ちたくないなあと思ってしまうのは、ナゼカ。
 

 
■ 坂道を下っていくと、遠くに花火が見えた。
 桂坂だという。
 花火は、ビルの隙間にあがり、よくできたLEDのような色をして消えた。
 硬い顔をした中年の女性が、電動自転車でこちらに疾走してくる。