月の下 2.
 
 
 
■ 30の半ばくらいを過ぎて冬場、オートバイに跨っていると膝にくる。
 スクーターではなく、古典的な単車のお話である。
 それでも乗っていて、北山界隈の峠やら、例えば東京なら首都高のレインボー界隈を風速が一桁台の時に飛ばす。
 

 
■ 最近の型番はわからないのだが、忍者でも刀でも、あるいは隼や883でも、長く乗っている奴というのは何時の間にか速い。
 溜めておいて、もう大丈夫というところで抜いてくる。
 無闇に車間を詰めたりせず、もちろん青いLEDで路面を照らしたりもしなくて、晩年の山岡雪舟みたいな空気感なのである。