月の下 3.
 
 
 
■ 昔、kawasakiの単車の尻に氷川清話の単行本を括り付けていたことがあった。
 文庫では手に入らず、箱付きのそれで買った。
 

 
■ スタンドで友人というか知人に、なに格好つけてんだよとからかわれた覚えもある。奴はそこに勤めていたのだ。
 金がなく、当時は有鉛を一定金額だけ入れている。
 あれってよ誰なんだ。面白いのか。
 友人というか知人は、ショート・ホープを吸いながら私に言った。
 俺もよくわからないんだ。
 へえ、こんど貸してくれ。
 
 
 
■ 奴に貸したのかどうか、はっきりと覚えていない。
 奴には妹がいて、短大に入る学費をどうにかするんだと言っていた。