眠れ巴里 2.
 
 
 
■ 背の高い男性が、トランクを開けている。
 ロールス・ロイスの旧いもので、見かけるのだが、動かしているのは稀だ。
 リアが少し下がって見えるのはどうしてか、何時も気にかかっていた。
 

 
■ 私は金子光春の三部作が何処にいったか捜してみようという気になっている。
 その前に仕事場の片付けをしなければならない。
 金子さんが上海に流れていった時、人力車の苦役の頭を足で押し、行き先を知らせることに驚いていた。
 驚くだろうな、という気はしている。