The Second Tree From The Corner.
 
 
 
■ 使うこともあるだろうとライカをバックに入れておいて、そのまま酒の席になったりすることがある。
 年配の方が近づいてきて、失礼ですがボクもこれに道楽していたことがあってね、と話しかけられたことが何度かあった。
 バックの上を閉めていなかったのである。
 東京ではない某所。
 ああ、そうですか。
 連れの方を眺めると、奥様ではなさそうなのだが、必ずしも同伴という訳でもない気配で大人の世界も謎なものだ。
 

 
■ お仕事でいらしたんですか。
 はあ、ま。
 何か聞きたそうな顔をしているのだが、見かけない余所者がいるなと恐らくは思われていたのだろう。やや小さくなって酒を嘗める。
 無関心であること、立ち入ろうとすること。
 その間合いは何時もすれすれのところで、そんな時私は、自分が30そこそこの風来坊に戻ったような気がするのである。