Ill Wind 3.
■ 米国のペーパー・ブック、いわゆるパルプ・マガジンと呼ばれるものの表紙は、一般に絵柄がどぎつい。
紙やインクの質というのもあるのだろうが、読者の興味を少しでも惹こうと、かなり扇情的な写真やイラストが使われていることが多いようである。
こうしたものを眺めていく楽しみというのも、あるかもしれない。
■ 私が持っていて、覚えているのは、チャンドラーの洋書が数冊。
後は一般的な文芸書である。
これも何時買ったものか、ロバート・ミッチャムと顎の尖った「愛の嵐」の時の女優、そう、シャーロット・ランプリングの写真が使われていた。
私は一時この女優が好きだった。
青年期というのは、胸の薄いどこか精神的にみえる対象に惹かれることもあって、恐らくは内側にあるものをモテアマしていたからだろう。
■ それにしても、ハメットの女運は良かったのか悪かったのか。
リリアン・ヘルマンという相方は、マッカーシズムとの関連でかなり美化されているようなところもあり、もしムゴーイ目にあっていても、非情に耐えていたのではないかという気がしないでもない。