真横の月 3.
 
 
 
■ ヴィゲンにBBSの鍛造を履き、タイヤはミシュラン。
 そういう画像がネット上にあった。銘柄は確認できなかったが、多分PPSかその前のPS2辺りだろう。ストラット・タワーバーも別売のものに変更されている。
 ミシュランか、と意外に思ったものである。
 というのも、グリップなどは文句なしなのだが、サイドの造りがややソフトなため、高速でのレーン・チェンジの際に、腰の辺りがやや曖昧な感触になることを覚えていたからである。
 PS2を履いていた時のことだ。
 
 
 
■ 逆に言えば、トラクション・コントロールのないヴィゲンの場合、何処までも粘って接地しようとするタイヤの方が横っ跳びしないのかも知れず、BSやコンチだと荒れた路面で追従してこない可能性がある。
 タイヤやホイルの重さもそこではかなり影響するだろう。
 と、想像してみたものの、こればかりは自分で所有して試してみないと分からない。
 ま、モトグッチの1000や1100を、100ps辺りにまでチューンした奴に跨り、いい歳してコーナーでトルクの度に滑るのを確認している、みたいなお話である。 
 
 
■ ヴィゲンに乗っている方というは、多分相当の好き物だろう。
 AMGやS4にいかず、ボルボV70 T-5R でもない。
 なんだ9-3の旧型か、と流し目をくれた996の白かプジョーのクーペなんかを、じわっと追い詰めていくことに秘かな喜びを見出す、堅気の勤め人の姿が目に浮かぶ。目立たないしね。
 後部座席にはレーマーやサイベックスのチャイルドが付いていたりして、そうした時はヴィッツやアルファードに煽られても道を譲るのである。