神の子はみな踊る。
 
 
 
■ 今ワイダの映画を見直すのは厳しいだろう。
 時間的にも精神的にもである。
 赤坂から神社へ続く界隈は警官だらけだった。
 眼鏡をかけた彼が右折しようとする私の顔をじっと見ている。170あるかどうかの彼は、分離帯の上に陣取って世間を睥睨している。
 動員されたのだろうか、使命感がこちらに伝わってくる。
 
 
 
■ 私は市川崑監督の真似をして煙草を口に咥えていた。火は点いていない。
 ホテルへ昇る細い路地にも車両が停まっていた。そういえばこの後ろに大使館があるのだ。
 イエローのタクシーが一台、トランクまで開けさせられている。
 サイズの合わない上着を着た運転手が、やるせなく遠くを見ている。
 12月の気配は不思議だ。