片シャギリ。
 
 
 
■ 二日酔いである。
 曇天である。
 鎮痛剤をかじりながら支度をし、夕暮れの電車に乗った。
 会合のようなものがあり、顔を出したのである。
 手には泉鏡花の「婦系図」を持っている。数頁は読めるだろう。
 街では足許に眼がいく。
 真新しいヒールをぎくしゃくすることなく履いている女性が目立つ。
 歳の頃は30過ぎか。
 私は廻りに選んでもらった鞄を肩から提げ、格好はいいけどあれこれ入らないなと文句をつけていた。