霧ふかき日 2.
■ ウィンカーを出して左に入り、シフトをひとつ落とした。
ブレーキは踏まなかった。またひとつ落としてエンブレをかけ、それから元の位置へと戻した。
速度が制限の60にプラス5まで落ちる。
多分そんなものだった。しっかり見た訳じゃない。
ミラーを眺めているとクラウンは一度かなり近づき、また適度な距離を保っている。
二人が何を話しているか、耳元で聞こえそうだった。
■ 数秒程そのまま走っていると、コンフォートのタクシーが90くらいで右から抜いていく。
ふうん、と思うまもなく白いクラウンは追尾する。
何時も思うのだが、あの車、脚だけは硬めているんじゃなかろうか。
規定の距離を測ってから、天井に赤灯が点くのを見た。