霧ふかき日 3.
■ 横羽線というと、トシヒコ・ヤハギさんの「マイク・ハマーへ伝言」という小説を思い出す。
横浜中華思想というか、遊び人以外、あとはカッペであるという理不尽で説得力のある信念に基づいた作品で、80年代から90年代半ばにかけての空気を先取りしていた。
追浜(オッパマ)で作られたセドリックの皮を被った覆面パトカーが、3.2リッター DATUN SR320。
その怪物パトカーは確かV6のDOHCだったと記憶しているが、それが練馬ナンバーである。
連れの乗った車がそいつに横羽で追われ、高架から落下して炎上したのだ。 練馬だと、ざけんなよ。と濱の男たちは友人の仇を討とうとする。
当時、羽田の辺りには国境があったのだ。
■ SR320という車は実際にはない。
SR311というのが初代のフェアレディで、スパルタンそのものの車だった。
オイルショックのために開発が中止されたエンジンを積み込んだのが320だという設定に小説ではなっていた。
なんにせよ時代である。