大師のデミオ 6.
 
 
 
■ ナンバーにガム・テープを貼るというところが時代である。
 折り曲げてしまえば良いのだが、それを繰り返していると金属疲労で折れる。
 横羽線や首都高内回りをW1Sですっ飛ばすという設定なのだから、お馬鹿な話で、90年代半ばであってもアナクロ感全開だった。
 
 
 
■ 若いカップルが座っていた青い椅子に腰掛け、私は暫くぼんやりとした。
 このPAに停めたのは何年ぶりだろう。ちょっと造りが変わったようだ。
 さっきのデミオはリアのバンパーにぶつけた跡があった。
 普段の足にしているのだろう。エアコンが効いて物を入れるところがいくつもあればそれで十分、というところか。その通りである。
 変わったものと変わらないもの。
 それが何なのか、ぽつぽつと雨になる。