マイナー・ポエット。
■ 小島は万太郎を本質的にマイナー・ポエットと看過している。
万太郎の本質は抒情詩人だったと。
訳せば小さな詩人、つまり二流の詩人のことだ。しかし、小さいが非常に純粋な詩人のことを専門的には云うらしい。
(前掲:18頁)
この冒頭数頁、全部引用はできないけれども、万太郎と小島の芸術観が端的な形で顕れていて私は好きである。
■ 若い頃よく読んだ吉行さんも、自らのことをマイナー・ポエットだと称していた。どうにも情けない「第三の新人」たち。
それが何時の間にか昭和の文壇の表舞台に、というプロセスを暫く経ってから追っていった訳だが、今にして思えば、文壇というものが成立していた時代のお話だったという気もする。