オイルド 3.
 
 
 
■ 靴というのは自分で管理する。
 それがスニーカーでも皮の底であっても、水に濡れたら暫くは乾かし、それから木型を入れてかたちを整える。
 気に入った靴は、底を張り替えても使う。
 歩く時に、その裏がみえても構わない。
 
 
 
■ 近藤日出造さんの漫画に、天皇家の師走風景というものがあった。
 確か文春の漫画特集号に掲載されていた。
 丸い眼鏡をかけ畏れ多くも御前会議の神棚のようなお立場だったお方である。
 一家総出で大掃除をしたりして、人間宣言をしたばかりの頃合だったろうが、息子さんの眼が細い。小さな娘さんもおられる。
 庭があり障子があって、世田谷か杉並の小さな庭のある文化住宅のようなところというところがフィクションではあるけれど。
 例えば小津監督が描いた、卓袱台と縁側のある風情と言えば分かりやすいだろうか。