脇役について。
■ 棚に手を突っ込み、俳優本を何冊かめくっていた。
定番なのは、社会思想社から出ていた確か「世界俳優全史」または女優のシリーズだろうか。これには「日本~」も並列で存在している。
いささか古い本ではあるけれども、その古さがまた味というか、今から2-30年前はこうした評価もあったのだな、と記憶を辿るよすがにもなる。
筆者の好みや傾向があからさまなのもいい。
■ 資料を緻密に積み上げていく方式の本もなども何冊かあって、ポランスキー監督の行きつ戻りつの概略を知ったのは「亡命者たちのハリウッド」(吉田広明著:作品社)という本からだった。
赤狩りで一時はハリウッドを追われたエドワード・ドミトリク監督がチャンドラー原作を映画化していたこと。
邦題「さらば愛しき女よ」という作品だが、ノワールというかハードボイルドの手法で初めてチャンドラー作品を映画化したということになっている。
観てみたいような気もするのだが、ほぼ入手は困難だろうとはじめから諦めてもいた。
しかし、比較的若手の研究者または書き手は、どちらかと言えば重箱の隅をという形式で評論をまとめることが多いらしく、その気分は分からないでもない。
■「東京乾電池」を主催している柄本明さんの「東京の俳優」(聞き書き:小田豊二:集英社)という本も、読んでみるとなかなかコクがあった。
舞台とテレビと映画と。売れるとか売れないとか。
そうだ、バイトで俳優やっていると思えばいいんだ。
存在感のある俳優になりたいって。でもおまえ、画面全体に映りたいってわけじゃないんだろ。
ともかくテレビに出て有名になりたいって動機なんですかねぇ。
柄本さんの台詞はいちいち省略と含みのようなものがあって、だてにじたじたやっているわけじゃない、というところなのである。