インナーシティ 2.
 
 
 
■ よく喋るスタンドマンは整備ができない。
 窒素の代わりに空気を入れたり、聞かずに納得するからだった。
 随分と前、消防署の近くにあったスタンドでバッテリー液を補充してもらったことがある。一杯に入れてしまい、次にボンネットを開けたときは吹いていた。
 下まで錆びるのである。
 当時、まだ今ほど世間はシビアではなかったので、もちろん私も若かったが、そのままで済ませたような覚えがある。いつも行っていた店だからだ。
 彼もまたよく喋った。
 
 
 
■ チャンドラーがもし東京にいたら、どんな風に街の描写をするのだろう。
 地名は具体的に出るのだろうか。
「赤い風」のラストは今読み返しても甘くにやけていて上手いものだけれども。