ユーフラテスのブルックリン。
 
 
 
■ このところ鬱の気配が残っている。
 そのせいか、ぱらぱらと本などを捲っていた。
「ファルージャ 栄光なき死闘」(ビング・ウェスト著:竹熊誠訳:早川書房:2006年)
「戦場の掟」(スティーブ・ファイナル著:伏見威蕃訳:講談社:2009年)などである。
 前者は海兵隊員の立場から書かれたもの。後者はと言えば、いわば戦争の民間委託を描いたものだった。
 
 
 
■ イラク、ファルージャという都市で2004年に市街戦が行われた。
 発端はアメリカ人の遺体が、その年3月31日、ブルックリン橋に吊り下げられたことである。遺体は随分と毀損されていた。
 報復を誓った米国世論、海兵隊員たちは半ば出口のない市街戦に突入していく。
 著者のビング・ウエストは元海兵隊員。ベトナムに従軍し、レーガン政権下で国防次官補を勤めている。
 ただその描写はリアルというよりも映画的で、弾のあたる兵士の様子、死に至る経過について、モルヒネのパックとセラミックの股間用サポーターとが並列に語られてもいた。装甲の全くないハンヴィーがひっくり返る様などもである。
 
 
 
■ どこか面白い読み物として終わることに、注意。
 私は、手元にあるメモにそう書いている。
 何処で書いたものか、細切れの時間に斜め読みしていたからかも知れない。