古いジャガーと立っている男 4.
■ この手の車を乗りこなすには一定の年季が必要である。
ジャガーでもメルセデスでも、またはランチアや旧いBMWでも、適度に使われ、適度にやれている感じは好ましいものだが、手入れされないままというのはわびしい。
この辺り、土地柄のようなものもあって、同じ車でも東京の北や東やその向こうへいくと全く違った乗られ方をしてしまう。
■ いつだったか高峰秀子さんの評伝のようなものを読んでいた。
テニスコートのある界隈の高台にお住いとのことだが、車は赤膿色のシートのジャガーだったという。
確かめたわけではないが、Double Six 辺りを指すだろう。
ロールスやベントレーじゃないところが高峰さんらしい。
評伝の執筆者の方は女性で、運転手さんとの会話が載っている。
スタンドで磨いてもらったりするんですか。
いや、それはないです。スタンドのタオル自体が信用なりません。
執筆者は感心しているのだが、車好きには当然のこと。
雨の後、ウェスで拭うこともあるのだが、そのウェスが問題なのである。