スラムの惑星 2.
■ Planet of Slums.
というのは、いい題名だとおもう。
著者のディビスは1946年生まれ。1992のロス暴動を描いた「要塞都市LA」で一躍文名をあげる。ブルーカラーの出身で、精肉業やトラックの運転手をしながら一時アメリカ共産党に席を置く。現在はカリフォルニア大学の教授、「ニューレフトレビュー」の編集委員である。
■ 大型トラックを転がしながら、ロスのダウンタウンを彷徨うニューレフト。
半ばネオ・ハードボイルドの探偵小説に出てくるような設定だが、翻訳とはいえ文体には確かにそうした色合いがあり、事実を積み重ねてゆく論考の仕方は、ピンカートンの調査報告書以来の伝統だと言われれば、半分ほどは納得もするだろうか。
いわゆるグローバリズムというものが、地球的な規模では都市化と周辺のスラム化を招いているという視座は、ある意味ではその通りである。
スラムというものは都市と地方との境界にあるものだ。
境界ははっきりしていることもあるし、飛び地のように点在することもある。