スラムの惑星 3.
■「かくして後期資本主義社会における人類の選別はすでに始まっている」
とディヴィスは書く。
私は港の傍にあるバーで、ノンアルコールのビールを嘗めていた。
黒いのある、と尋ねると、まだそれはないと彼は言った。
昔、このホテルは敷居が高く、背伸びして来なければならなかったものだが、バーテンダーが自分より随分と若くなってしまうとどうでもよくなる。
鞄の中に吸いかけのシガーが入っていたので100円ライターで火をつけ、それからクラッカーにチーズを貰った。
チーズの味は、乾いた女のようである。
■ エピローグ近くになり、スラム地域における米軍の軍事行動の困難さと、自動車を使ったテロについてディビィスは触れていた。
武装ヘリで制圧することは難しいのだと。
この章は蛇足ではなかろうか。
どうも世界革命を夢をみた若者が大人になり、こんどの主体は世界各地に生息するスラムの住人からではないかと、廻りを気遣いながら注意深く扇動しているかのように私には読めていたのである。