ダンディズム 2.
■ 節電のため動かないことにした歩道、というものがあって、その周辺は独特の匂いがした。
おそらく、流れない水の故だろう。
遥か昔、ここにはダンボールの世界の住人が長屋をつくっていて、不思議な活気というか猥雑な何物かが漂っていた。
もちろん錯覚なのだけれども、そこに潜り込み長期取材をモノにしたという新聞記者の本を読んだことがある。
偽善というのは普通無自覚なものだが、ただ、こうしたものが一定部分で受け入れられる世の中というものに心底嫌気がさし、安酒を舐めた覚えがある。
■ その記者ももう50代半ばくらいだろうか。
偉くなったかならないか。議員にでもなられたか。
知ったことではないのだけれども、時間というのはやや退屈なところがある。