退屈な儀式と夜について 3.
 
 
 
■ このカマロというのはZ28である。
 ちょっと引用を続けてみる。
 
 品川埠頭の外れから湾岸線に乗る。キックダウンしないようゆるゆると車を走らせた。 途中、人気のない駐車場で小便をし、何をしているのか自問した。手は洗わなかった。
 東金で高速を降り細い道をいくつか抜けた。
「ホルモン」という黄色い看板のある店で塩ラーメンを食べ、海の傍まで出た。
 玄関のタイルがいくつか剥がれたマンションが建っている。
 見上げると、ほとんど灯りはない。駐車場には銀色のセダンが一台駐まっていた。
 埃っぽいエレベーターに乗り、十二階までゆくとチャイムを押した。三度鳴らしノックをして名乗った。
 チェーンが開けられる。葉子はそこにいた。
 
 
 
■ マニアには69のカマロが人気だという。
 個人的にはその後の型もそう悪くはないような気もする。
 どちらにしても、マッスル・カーの最たるもので、当時コジャレタ横文字商売の方々が多く乗っていたサーブのターボ辺りと川崎の産業道路でバトルする。
 湾岸ではないところが気分のつもりだった。