老齢は難破船のようだ 2.
 
 
 
■ 緑坂4693 の続きである。
 勘のいい読者なら、ここから論がいくつもの方向に流れることが予測されるだろう。
 例えばITの世界によく見られるテクノロジー万能論であったり、半ば超人思想であったり、新自由主義とその反動だったり。
 辿っていけば歴史の中に見事な手本があるのだが、緑坂はあからさまに書くことを嫌う。
 
 
 
■ チャーチルはハバナ産の葉巻を最後まで吸わなかった。
 ヒトラーが探索した、酒や女性問題というものもない。
 首相になった時が65歳である。対するヒトラーは50と少し。
 戦争が終わると、英国民はチャーチルを下野させる。
 役割は終わったのだと、残酷なバランスを取るのである。