背伸びをすれば海峡は。
 
 
 
■ 遅い打ち合わせを終え、霞町辺りを下っていた。
 私は、それが男であっても余所様を乗せている時はそれ程飛ばさない。
 前にテールの電球が切れたkawasakiのシングルが走っていて、音ばかりだなと思う。
 ギアを2つ落とし、悪いけど抜かせてもらった。
 そのときはひとりだったのである。
 
 
 
■ この辺り、ちょっと潜ったところにバーがあった。
 それはいつもあるのだが、そこへ通うことが少しお洒落に思えていた時分もあって、単に若かったからである。
 うどんの旨い店もあって、今は専門家を何人も使う先生となっている先輩筋の方とご一緒したことを覚えている。
 北ちゃん、俺ボルボかなあ。
 春菊のせながらその方はそう言われた。