当時いいなと思ったものが色褪せる。
 
 
 
■ 相方の話ではなく、多分年齢のせいである。
 20代から30代半ばというのは、自意識だけは無駄に高く、そのくせなかなか居場所がないものだった。
 男の場合である。
 金もないのに酒を嘗め、ガソリンを入れ、もさもさと牛丼を食べる。
 
 
 
■ 深夜、床に置いたテレビを漠然と眺め、モノクロの裕次郎が素足にスリップ・オンを履いてポーズを取るのをいつか真似しようとか思っていた。
 バブルの最中だというのに。
 股上がヘソの上までくるパンツは、ことさら脚が長く見えるようにしつらえられたものだとちょっと知る。