■ ドアのところに紙袋がぶら下がっていた。洗濯屋がきたのだ。
私はズボンを脱ぎ、ハンガーにかけた。するすると落ちる。
ソファに横になり、小さく躯をまるめた。
暫くして起きあがり、冷蔵庫から氷を取り出して酒をつくった。
レモンなどというものはない。ライムは坂下のスーパーに売っている。
ジンを炭酸で割り、泡立つのを眺めていた。
芝浦のバーで冴が飲んでいたのは、赤いビターだった。白い肌によく合っていた。塗り直した口紅の色のようでもある。
酔いが廻ってゆく。躯が重くなる。
しかし、それでもまだ足りないかのように私には思えている。