ZINO 4.
■ 若造だった頃、本が高くて閉口した。
時々は食費よりも多かったくらいで、例えばそれは東京で車を一台維持することとも似ていた。
安定した職種について地方に赴任した友人が、次々と新しい車に替えるのを聞いて、羨ましく思わなかったと言えば嘘である。
■ 牛丼の食い方に精通した。
立ち食いでの注文の仕方にも、いくつもの流儀があるのだと知った。
例えばワイシャツにはピンからキリまであって、一枚だけ細かな綿の織のものを持っていたらいいのだと覚える。