月夜の汐路 2.
 
 
 
■ 横横を飛ばして葉山界隈へゆく。
 地元車のトヨタの小型車がとても速く、多分床まで踏んで130を保っている。
 案外にそういうのは嫌いじゃないので、その後を付いていった。
 
 
 
■ 古いメルセデスではセカンドから発進していたが、途中からローに切り替わった。
 今でもSとWがあって、Wはセカンド発進である。
 そのせいでもない、私のAMGは出足の5メートルほどが案外に遅く、タクシーにも置いてゆかれる。1500や2000回転になると、カムに乗るのか一気に吹け上がり、駐車場から出た日吉坂で80とか100近くになるのだからいささか品がない。
 とはいうものの、決して後輪がリバースするようなことはなく、極めて弱いアンダーを保ったまま高速コーナーを抜けてゆく。
 車なんてものは自己満足と見栄の世界なのだが、深夜の湾岸からC2へ曲がる辺りで、決めたラインをなぞることができると、すこしばかりにやりとする。
 Rとか三菱やスバルのラリー用の車に抜かれても、それはそれ。次元が違うのだから、先にいってもらう。
 ちょっと熱くなるのはポルシェのボクスターや、カレラSではない911の水冷で、短い直線とコーナーで遊んだこともあった。
 すぐにループコイルが埋まっている場所が近づくので、それ以上のことはない。