これから、何処へゆこう。
 
 
 
■ というコピーを書いたことがある。
 EPSONの仕事だったと記憶している。
 元々は緑坂で、その意味で緑坂とは仕事の引き出しになっていることもあった。
 残高と相談しながら、これから数年、自分が何に乗ろうかと考えたりする。
 私が雪国に住んでいるとするならば、容赦なく4WDだろう。
 スバルの3リッター水平対向の6気筒は、そのデザインさえ我慢すれば、比較的いい選択だと思われた。だが都心では、雨の高速くらいしかその恩恵に預かれない。
 
 
 
■ 途中、E28型のBMWを見に行った。
 私は四角いセダンが好きで、80年代のBMWの5シリーズは、02と同じ程度に好きである。 M535。86年式。3.5リッター。最高速度は210。
 となると、かろうじて現代でも使えそうな車である。車自体は安価なのだが、外装を仕上げて50.内装を張り替えて同じく。
 これがアルピナのB9辺りになると、200から必要になる。整備や維持に100.
 こちらはEU仕様の、外側が大きなヘッドライトに交換されている。
 それもいいのだが、サーブ900の3ドア、ターボの160馬力というのにも心惹かれた。
 色は黒ではなく、深いグリーン。
「夜の魚」一部で、敵役がこれに乗り、カマロとバトルを繰り広げる。
 調べていると、走行が3万台のそれが100の前半で出ていたのである。
 これも最終型の93年。多分残存する最も程度のいい一台だろう。
 割と安く仕上げられるかな、と思いながら、書棚からサーブ関係の資料をあさる。
 この年式のサーブはGMのプラットフォームを使っていない。サーブらしさが最後に残るモデルだとも言われている。ATが3速。当時はそれが普通だった。
 ただ、160も出すとフロアがぶるぶる震えるという欠点があった。
 出してはいけない、と言われればその通りなのだが、これは100でも微妙に生じる現象なのだから、つまりフロアの剛性である。下り坂ではやや怖い。
 
 
 
■ それらはさておき。
 こうした古い車の場合、その後どの店に持ち込んで修理・メンテナンスをするかが問題になる。まずはそれを捜すことである。
 サーブの場合、川崎にそれがあるのだが、私はついにそこに顔を出すことはしなかった。
 不思議なのだが、今この車に乗るのはまずいかな、という気分が働いたのである。
 車そのものは好きなのだけれども、ちょっと待てと。
 この辺りのバランスについては、どの辺りで線を引くか、やめるかというデザインや文章のそれに似ているところもある。
 要は自分とは何か、主観的な意識と、外から見てどうなっているかのということのせめぎあいである。