ホストカー。
■ 車のことを具体的に書くと、品がなくなりやすい。
それは、恐らく靴や靴下とはまた違うものになっているからだろう。
どちらかと言えば、機能以外の目的を前面に出した腕時計のようなものだ。
■ X308のジャガーの隣にはベントレーがいて、確か比較的安価な2ドアの方だった。
どんな方が乗っているのか、見たことはない。
グリーンの308は奥様が運転をされ、隣にご主人が乗られている。暑いのにネクタイを締められていた。エレベーターのボタンを押して待っていると、挨拶をしながら乗り込んできて、そういえば私はお土産の餃子をビニール袋にぶらさげていることに気づいた。
匂わなかったかな、と考えるのだが、その時には遅い。
それにしても、今流行のクール・ビズで紙袋を持っていると情けなくないだろうか。
官房長官の姿をテレビで眺め、そんなことを考えていた。
■ 横浜にあるジャガー専門店にいくと、新宿ではホストが務まらないだろうというような若い男性が営業である。縞模様の背広を着ているのだが、ややキツイらしく、盛んに襟口に手をやって気合を入れている。黒系統の上下に、茶色のブーツというところがセンスである。尖ったブーツは汚れだろうか、半分にオイルの染みのようなものが付いていた。 彼が薦めたXJの4.0は、比較的革の状態がよく、ディラー物で距離も出ていなかった。
負けろよ、と言うと20万安くなる。
あれこれの保障も付くのだという。
一応見積もりを書いてもらい、名乗らず、そのまま戻ったのであるが、翌日ネットで価格を調べてみると、全く同じ店の同じ車が30万値下げされていた。在庫整理であるらしい。
書類を仔細に眺めると、税込み価格の癖に税別で計算などされている。
そりゃないだろうねえ、と面白がって電話をしてみる。
すると、代理店のせいにしていたりして、彼も知らなかったんだろう。経営は別だ。
そこには、外観だけは見事に磨かれた車が何台も停まっていた。
大きなメッキのホイールを履いている。
ドアモールなどに触ると、多分露天駐車だったもののようである。