三月。
 
 
 
■ 夜の打ち合わせに外苑西通りを急いだ。
 青山墓地界隈を昇る。
 一台のSUVが、バックをして道をふさいでいた。
 女を降ろしているらしい。
 
 
 
■ 私はボッシュのクラクションを鳴らす。
 基本的に、クラクションを鳴らすことは下品であると認識している。
 SUVの彼は、隣に並んだ私を眺めている。
 私はサイドのウィンドゥを薄く明け、とろとろしてんじゃないよ、と唇の形で言った。
 彼らはヒルズ帰りなのだ。