女郎の足抜け。
 
 
 
■ のようなことを、この正月明けにやっていた。
 つまりまあ、夜逃げの手伝いのようなものだが、そのために私は豚のような自分の車を洗わず出した。洗うと目立つ、というよりも雨が降る。
 何年か前にもそのようなことがあり、深夜都心のオフィス街で荷物を積み込んで首都高速を飛ばした。
 当時、謝礼はカレーライスである。
 
 
 
■ もういいだろうというところで道に迷った。
 抜けてきた女郎は隣の席で、風邪をこじらせた咳をしている。
 それは見事に私にうつり、今でも身体から抜けない。
 どうしてくれるのさ、とここで言う。
 川があり、細い月が映り、それでいて冬の空は抜けていた。
 やつれた彼女は普段より五歳ばかり老けてみえる。
 時々、思い出話をしては同じところを廻っている。
 数日、酒ばかりを飲んでいたのだという。
 ワインだと言ったが、なくなったら紙に入った日本酒であろうかとおもわれた。