手を伸ばしたら湿っていた闇 4.
 
 
 
 
■ 東京の冬は乾いている。
 そうでないところが、大雪であるにも関わらず。
 一月の初めまで時折舞っていた銀杏の枯葉も粉になり、深夜、不思議なタイアを回転させる黄色の清掃車が片付けていった。
 私が今履いている靴の底は磨り減っていて、雨の日の黒い大理石の上では滑る。
 かといって並木通りで買おうかなという気にもなれず、一月に潰そうと考えた。